「きみのいろ」自分の“色”が見えない少女が“更新”されていく瞬間【藤津亮太のアニメの門V 110回】

2024-09-09
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トツ子のことを考えている。
『きみの色』の主人公。タイトルも、彼女が周囲の人の存在を、いろいろな“色”として感じていることにちなんでいる。  

小さい頃から、他人の存在を色で感じていたトツ子。でもまわりから「ヘン」といわれることが多く、自分からそのことを話すことも次第に少なくなってしまった。……と、本編のあらすじを書くならこのような導入になるだろうが、実際の映像の導入はもうちょっと複雑だ。  

ファーストカットは、礼拝堂で祈るトツ子の姿(ここでその後幾度も繰り返される「ニーバーの祈り」が登場する)が描かれる。そこから幼い日にバレエをやっていた記憶と、それを辞めてしまった記憶が映像で示される。このあとからトツ子の「色」をめぐる述懐が始まるが、「色が見える女の子」と並行して、「バレエを辞めてしまった女の子」のトツ子描かれているということは、とても重要なポイントだと思う。  

どうしてこの冒頭の語り順にこだわるかといえば、決して饒舌ではないこの映画の中で、そこにトツ子を理解する鍵があるからだ。思えば『リズと青い鳥』も冒頭のシーン、音楽室を開けたのが誰かということに、さりげなく映画全体の進む方向性を暗示していた。本作も、この冒頭に映画全体を方向づける意図があると考えてもおかしくはないだろう。  

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